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Photo Gallery / 幻霧景

幻霧景と書いて、げんむけい、と読む。

誰の中にも 恐らくあるであろう 帰りたい景色。でもそれは決して、 
たとえば‘旧き良き日本の風景'というような 特定の場所や時を指示してしまうものではなく。 
もっとこう、具体的な形がすっかり溶け果てた後に残る 一つの小さな塊、或いは芯、 といったようなもの。 
とても懐かしく、同時に途方もなく切なくて残酷で、そして 何処までもやさしくやわらかい、 
帰ろうとする者をすべてあるがままそのままに受容するであろう仄景色。 
そういったものを、私は、描きたいと思った。

まだ夜が明ける前の、朝露で濡れる芝の上を走り、転がり、横たわり、 
そして、ぱっくりと明けた東の地平線から真っ直ぐに伸びてくる陽光は 
瞬く間に辺りを照らし始め。 
それまでおぼろげでしかなかった様々な世界の輪郭が 露わになってゆく、そんな中で撮影した。

焼くときはただひたすら 祈りながら焼いた。 
何処までも深く深く、誰のこともどんな事も受け容れるだけの深さが、同時に浅はかさが欲しい、そう祈りながら。

届くだろうか、 
貴方に、届いてくれるだろうか。 
貴方の中のいとおしい景色の破片に 
何処かで繋がってくれるだろうか。 
もしすぐに繋がることがなくても 
ほのかに匂いくらいは、そう、まるで残り香のように、 
貴方の内奥へと、伝わっていって くれる だろうか。

そう祈りながら、これらの作品を「幻霧景」と名付け、世界に送り出します。 
「幻霧景」と貴方と、しばしの間でも見つめ合ってもらえたら、幸いです。